自動翻訳機や翻訳アプリなど、ボーダーレスな国際社会において障壁の一つとなる言葉の壁を解消し得る手段はいくつかあります。しかし、これらの機械翻訳で対処できるのは、単なる言葉の置き換え。翻訳する文章の読解に特定の専門知識が必要な場合、必ずしも機械翻訳で対応できるとは限りません。
その一つがリーガル翻訳です。リーガル翻訳とは法的効力のある文書の翻訳のことです。この記事ではリーガル翻訳者に必要な能力や、リーガル翻訳会社を選ぶポイントをお伝えします。
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リーガル翻訳とは
リーガル翻訳とは法的な内容を含む、あるいは法的効力を持つ文書の翻訳のこと。単純に言葉を翻訳すればよいだけでなく、翻訳前の文書を理解する力、そしてその文書のニュアンスと意味を変えずに正確に翻訳する力が求められます。そのため、通常の翻訳とは異なり法律の知識も必要となります。
リーガル翻訳の対象となる文書
リーガル翻訳の対象となる文書には主に次の四つがあります。
契約書
契約書とは、一般的に二社(者)以上の間に行われる取り決め(契約内容)を証明するためのもの。双方(三社以上の場合は全員)が署名、あるいは捺印することにより効力を発揮します。契約書は法人どうしで結ぶ場合もあれば、法人対個人や、個人対個人で結ぶ場合もあります。
契約書は個別に取り決めを行うためのものですが、法律に抵触することを取り決めることはできません。そのため、両者の国や地域の法律に則って作成する必要があります。
訴訟文書
訴訟文書とは訴訟に関連する文書のこと。訴状や起訴状、陳述書や証拠説明書などがこれに該当します。これらの書類は記載する項目や記載方法が決まっており、翻訳後において、訴訟を起こす国や地域に即した記載方法にする必要があります。
法律相談の記録
法律相談の記録もリーガル翻訳の対象となる文書。依頼者が弁護士に相談した内容、事件解決の進め方などを記録したものです。法律相談の記録は論点の対象となる法律を判断するために重要な書類となります。事実を正確に翻訳することも大切ですが、論点の対象となる法律の解釈なども知識として必要になります。
法律関連の政府文書
各省庁が発する省令や告示、それに裁判の判決文書などがこれに該当します。いずれも事業を進めるうえで守るべき内容が記載されています。翻訳が正確でないとその文書をもとに(結果的に)法律違反となる事象を起こす可能性があるため、慎重な対応が必要です(特に裁判の判決文書)。
リーガル翻訳者に必要な能力
それではリーガル翻訳者に必要な能力とは何でしょうか?次の三つに絞って解説します。
法律用語と概念の深い理解
法律用語と概念は、翻訳以前の知識として必要になります。リーガル翻訳では言葉そのものの意味を理解する知識も必要ですが、文書の趣旨や法律に則った記載方法などを理解する知識も必要です。そうでなければ、そもそも元の文書に記載されている内容を正確に理解できません。
そして、翻訳後に使用される国や地域の法律用語と法律の概念の知識も必要となります。単純に言葉を翻訳するだけでなく、その国の法律に則って記載する必要があるためです。
しかし、中には翻訳前の文書に法的な不備や記載方法の不備があることも。このような不備を見抜く力も必要になります。
言語の緻密さと文体への配慮
法律文書は通常の文書と異なり、記載方法や言い回しに特徴があります。翻訳前の文書において、それらを理解することはもちろん、翻訳後の文書においても配慮して文書を作成する必要があります。文書の内容を正確に翻訳し、法律的な解釈が間違っていないことは当然のこと。しかしそれに加えて、翻訳後に現地の法律家(弁護士や裁判官など)や法務担当者が読んでも、すんなり理解できるように翻訳する必要もあるのです。
文化的背景と法的文脈の理解
十分な知識があれば法律的に不備がなく、現地の法律家にも通じるリーガル翻訳ができるかもしれません。しかし、より深く翻訳するには文化的背景や商習慣の違いを理解する必要もあります。リーガル翻訳に限らず、文書には必ず読み手がいます。読者にとって読みやすい文書は、自らと共通の文化や習慣を持つ人が書いた文書、あるいはそれに精通した人が書いた文書です。翻訳と分からないくらい自然な文章であれば、伝える人・読む人双方にとって非常に価値のあるリーガル翻訳になるでしょう。
リーガル翻訳会社を選ぶポイント
何を基準にリーガル翻訳会社を選べば良いのでしょうか?ここでは選ぶときのポイントを二つ解説します。
翻訳者の資格と経験
翻訳の能力を示す試験にはさまざまなものがありますが、リーガル翻訳の仕事をするうえで必須ではなく、それよりもこれまでの経験や実績が重要視されます。
リーガル翻訳では翻訳のスキルはもちろんのこと、法律の知識も必要となります。これも必須ではない場合もありますが、大学の法学部やロースクールを卒業(修了)していると良いでしょう。
資格より大切なのがリーガル翻訳者としての経験です。国際事件を扱う法律事務所での経験や、国際取引を行う企業の法務部での経験などは、長ければ長いほど良いでしょう。
対応可能な言語と法域
一口にリーガル翻訳と言っても翻訳する言語が変われば必要な法律知識も変わります。国際事件を扱う法律事務所の中には、特定の国の事件を専門的に扱うところもあります。幅広く対応できることも大切かもしれませんが、クライアントのニーズは今抱えている問題を解決することです。そのため、ニーズとマッチするならば特定の国や地域に範囲を絞った事務所の方が良いかもしれません。
リーガル翻訳では扱う法域も大切です。たとえば一口に中国といっても、香港とそれ以外の中国本土では法律が異なります。このように一つの国や地域であっても適用される法律が地域によって異なる場合があります。そもそもどの法律が適用されるのかという知識が必要です。
前述の通り、リーガル翻訳には法律、翻訳、文化や商習慣に関する知識と経験が必要になります。翻訳後の言語と法律文書の法域を明確にし、得意とする言語や法域がマッチする翻訳会社、あるいはリーガル翻訳者に依頼するようにしましょう。
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