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早稲田大学講義シリーズ_vol.2
「企業の海外展開を8つのステップに分けて解説」

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早稲田大学講義シリーズ_vol.2
「企業の海外展開を8つのステップに分けて解説」

By GSJ事務局

2023年4月26日、早稲田大学ビジネススクールの講座「中小企業のグローバル戦略」にて、「グローバルとローカルのマッチング戦略と課題」という内容で、GSJ専門家と専門家が支援する企業様により、具体的な事例紹介をさせていただきました。

今回は、本セミナーにおける4名の講師による海外展開のさまざまな手法や手順、事例などをご紹介します。ここでの内容を参考に、ぜひ自社の海外展開について検討してみてください。

講師② 株式会社KM International 代表取締役 中 正宏

経歴紹介

2003年からオーストラリア、シンガポール、ベトナム、インドネシアと4つの国に在住し、帰国後の2016年に株式会社KM Internationalを起業。10年以上におよぶ海外生活の経験を活かし、香港や台湾、中国、ベトナム、マレーシアなど、アジアを中心とした世界の国々で日本の食料品の展示会、商談会、プロモーション事業を展開しています。

また、会社経営の他にもさまざまな肩書きを持ち、一般社団法人Glocal Solutions Japanでは農林水産・食品分野における認定専門家としても活動中です。

事業紹介

KM Internationalでは「食品輸出支援」、「全国自治体との連携」、「セミナー講演」という主に3つの核となる事業を展開しています。

食品輸出支援としては、過去に滞在経験のある国々やその隣国など、東南アジア各国に向けて、一般食品や加工食品、飲料といったあらゆる食品の輸出支援を行っている形です。また、一般企業への支援の他にも、全国の自治体からの依頼で、事業委託や連携事業といった活動を行っています。さらに、年間平均50回にのぼる講演活動を通じて自身の海外経験を伝えるなど、輸出に向けた幅広い支援活動に取り組んでいます。

海外展開8ステップ

ここでは、企業の海外展開を8つのステップに分けて解説します。

STEP1:ビジョン形成

「なぜ海外なのか?」、「海外事業のゴールは何なのか?」など、一度失敗しても諦めないための明確なビジョンを形成します。

STEP2:SWOT分析

①内部分析
自社の強みの分析として、もっている人的リソース、商品力、技術力を見直します。また、何が強みで何が足りないかを再度分析します。

②外部分析
現在のマーケットや経済状況からどのようなチャンス、脅威があるかを分析します。

③クロス分析
上記①、②をもとに、自社が海外展開を行うにあたって何をすべきか分析するとともに、どの国で展開していくかを決定します。

STEP3:事業計画書作成

向こう3年間(5年間)の事業計画書を作成します。計画書には、売り上げ目標や国内外で開催される展示会、商談会の参加計画を具体的に盛り込みます。

STEP4:自社および商品紹介資料の作成

海外では、会社および商品のストーリー性を重視する傾向があります。「5W2H」を基本に、Who(誰が、誰に)、What(何を)、Why(なぜ、どのように)、When(いつ、いつから)、Where(どこで、どこへ)、How(どうやって)、How much(どのくらい、いくらで)を明確にし、外国語で資料を作成します。

STEP5:展示会・商談会に参加する

日本国内外で開催されている展示会・商談会に参加することで、バイヤーと直接接触します。自社製品の紹介やバイヤーニーズのヒアリングなど多くの成果につながります。

STEP6:コミュニケーション

商談後は、メールやSNS、テレビ電話など、あらゆる手段を用いてコミュニケーションを取ります。お互いに連絡が途絶えないよう綿密なやり取りを心がけ、注文をいただくまで粘り強く交渉を重ねます。

STEP7:商流構築、輸出手配、貿易実務

商流を確認し注文を受け、物流手配を行います。輸出先国の輸入規制等をあらかじめ調査したうえで、輸出書類を作成する必要があります。相手先国から求められる書類は、各国ごとに違うため、相手先から詳細をヒアリングし、準備を進めていきます。

STEP8:マーケティング、プロモーション、ブランディング

輸出後、2回目以降の注文を継続させるため、販売先でのマーケティング支援やプロモーション活動支援、ブランディング支援を積極的に提案・実行します。一度の輸出で終わらないよう、自社主導で販路拡大活動を行うことが重要です。

7つの質問|海外進出における商談準備

ここでは、企業の海外進出の際に、商談の場でバイヤーさんが必ず聞いてくる質問ベスト7をご紹介します。商談においては、会社と従業員、歴史など、自社に関するストーリーを十分に理解しておく必要があります。

  1. 「貴社の商品の開発ストーリーを教えてください。」
  2. 「貴社の商品が特に優れている点を教えてください。」
  3. 「貴社の商品は誰によってどのように作られていますか?(材料も含めて)」
  4. 「貴社の商品を買ってくれるお客様はどのような方たちですか?」
  5. 「貴社はいつ、どこで創業されましたか?創業者のストーリー、想いや歴史などあれば教えてください。」
  6. 「貴社の商品はどのような環境で作られていますか?また、工場の認証などがあれば教えてください。(HACCP、ISO、GAPなど)
  7. 「どのような価格設定を行っていますか?自社が(他社と比較して)どのようなポジションにいるか教えてください。

海外ビジネスを目指すには

英語が話せなくても、海外ビジネスを目指すことは十分可能です。どんなことでも、海外展開に使える武器を最低3つ身につけておけば、たとえそれが英語ではなくても問題ありません。

海外ビジネスを目指すうえで、自分には特別なものは何もないと感じる方も多いかもしれません。しかし、どんな人間でもこれまでの経験のなかに、自分では気付いていない、とてつもない強みをもっている可能性があります。表面的なスキルだけではなく、知らず知らずのうちに自分のなかに形成された、潜在的なスキルを洗い出すことで、思いがけない強みを発揮するかもしません。