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【専門家監修】PCT(国際特許制度)出願を分かりやすく解説

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【専門家監修】PCT(国際特許制度)出願を分かりやすく解説

企業の海外進出が活発化する中、複数の加盟国へ簡便に特許出願できるPCT出願に注目が集まっています。本記事では、PCT出願のメリットや出願スケジュール、さらに気になる費用面など、制度の仕組みについて詳しく解説していきます。

PCT(国際特許制度)とは

海外進出において、世界共通の特許というものは存在しません。進出したい国ごとに個別で特許を取得しなくてはならないため、各国別の出願手続きが必要となります。

PCTとは、特許協力条約(Patent Cooperation Treaty)にもとづく国際出願のことです。出願手続きを国内で一度申請するだけで、150ヶ国以上の加盟国へ出願することを留保できる制度であり、特許取得の煩雑な手続きを一ヶ所に集約しています。

PCT出願のメリット

特許申請の中でもPCT出願には多くのメリットがあり、具体的には以下のような点が挙げられます。

海外各国への出願が容易

海外各国へ個別に特許出願する場合とは異なり、国内の特許庁への申請一つによって、各国への特許出願を行うことができます。

国際調査報告の受け取り

PCT出願では、過去に類似した特許が存在しないかなど、特許としての成立性に関する調査結果を受け取ることができます。

この結果をもとに、各国への国内移行手続きや特許出願を改めて検討できるため、手続きを中止する場合も無駄なコストを抑えることにつながります。

なお、国際調査報告や国内移行手続きに関しては、後項で詳しく解説していますのでそちらをご参照ください。

各国手続きまで原則30ヶ月の時間がある

各国へ直接出願をする場合、基本的に、国内特許を出願した日から12ヶ月以内に各国特許庁へ書類を提出する必要があります。一方のPCT出願では、国内特許の出願日かPCT出願の日から30ヶ月以内に各国の国内段階へ移行できる国がほとんどで、余裕を持った申請が可能です。

PCT出願の流れ(スケジュール)

出願は以下のような流れになっており、事前に申請が必要なものや、提出期限が定められているものなど、様々なルールが存在します。

1.国内特許出願(任意)

PCT出願の際には、あらかじめ国内で行った特許出願を基に優先権を主張できます。この場合、基の国内出願とPCT出願で共通する発明の特許成立性は、国内特許の出願日である「優先日」を基準に判断されます。

2.PCT出願

国内特許出願を基礎にする場合は、その出願日(優先日)から12ヶ月以内にPCT出願を行います。国内特許出願がない場合、直接、PCT出願を行うこともできます。

3.国際調査

出願した技術・発明の特許成立性に関する調査が行われます。

4.国際調査報告

国際調査報告、国際調査見解書が出願人へ提供されます。詳しくは後項をご参照ください。

5.国際公開

国内特許出願日(優先日)から18ヶ月経過後、WIPO国際事務局によって国際公開が行われます。国際公開とは、出願内容を開示するためにWIPOウェブサイトにてデータベース化し公開する手続きのことです。

6.国際予備審査

出願人からの請求があった場合のみ、国際予備審査が行われます。4の国際調査報告を受け、出願している発明の内容を変更した場合などに利用する場合があります。

7.国際予備報告

6の国際予備審査請求を行った場合、特許性に関する国際予備報告が発行されます。

8.国内移行手続き

国内特許出願日(優先日)から原則30ヶ月以内に、権利化を希望する国に国内移行手続きを行い、翻訳書類も提出します。その後、各国の審査により問題がなければ特許登録となります。

PCT出願にかかる費用

PCT出願時に必要な費用(官庁費用)は以下のとおりです。

  • 国際出願手数料:179,000円
  • 送付手数料:17,000円
  • 国際調査手数料:143,000円
  • オンライン出願時の減額:40,400円

上記はあくまで日本の特許庁に国際調査を依頼した場合、出願に最低限必要となる費用です。代理人手数料は含まれておりません。国際予備審査を請求する場合や、国外の調査機関に国際調査を依頼する場合はさらに費用がかかります。

一方で、一定の条件を満たせば、減免を受けられる場合があります。

また、出願費用は近年、頻繁に改正が行われており、特許庁サイトで最新情報を把握する必要があります。

PCT出願の国内移行手続き

加盟国に対して特許出願することを留保できるPCT出願ですが、PCT出願を行っただけでは各国において出願したことにはならず、もちろん審査もされず、特許権の取得には至りません。

PCT出願はあくまで各国への個別出願を留保できる制度のことであり、各国への出願とするためには手続きが必要で、さらに、出願内容の最終的な特許可否は、各国特許庁が定める基準・審査によって決定されます。

こうしたPCT出願を各国の出願にする手続きを「国内移行手続き」と呼び、優先日から原則30ヶ月以内に加盟国特許庁へ国内移行手続きと翻訳文を提出することで行うことができます。その後、国によっては、審査請求を行い、審査を受けることになります。

国際調査報告

PCT出願の際には類似した技術の存在や、出願内容の新規性、進歩性の有無など、特許取得の可能性に関する調査が行われます。

これを国際調査と呼び、出願内容が特許として承認を得られるかどうか判断する上で非常に重要な材料となります。

国際調査報告において出願内容に対する評価結果が良好であれば、各国における審査でも特許承認の可能性が高いということを想定できます。

また、評価結果が思わしくない場合も、内容の精査・補正によって特許成立の可能性を見直すことができる他、国内移行手続きの前に出願を取り止めるなど、コスト面でも臨機応変な対応が可能です。

PCT加盟国一覧

代表的なPCT加盟国としては、アメリカ、カナダ、ロシア、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、スペイン、日本などが挙げられます。

また、主要な非加盟国としては台湾、アルゼンチン、ベネズエラなどがあり、これらの国ではPCTによる特許取得はできません。特に台湾は海外進出先としても非常に魅力的な市場ですが、加盟国ではないため個別に出願を行う必要があります。

なお、全156ヶ国のPCT加盟国はこちらのサイトをご参照ください。

PCT出願ならGSJへ

GSJでは、PCT出願に関するあらゆるサポートを行っております。出願から特許成立までのトータル支援はもちろん、国際調査や国内移行といった項目ごとの疑問・お悩みもGSJにお任せください。

ご相談の際はお問い合わせフォームよりご連絡お待ちしております。

GSJ認定専門家

■ この記事の執筆者認定専⾨家 ⻲卦川 巧

■ プロフィール概要 所属(肩書):テックロー特許法律事務所 代表弁理⼠
専門領域:知財戦略コンサルタント
資格など:弁理士、修⼠(法学・知的財産権法)

■ プロフィール詳細 事業展開に沿った知財戦略の⽴案から、各種知的財産権の保護を得意とする専⾨家。特許だけでなく、意匠や商標などの知的財産権制度を駆使し、事業の最適な保護⽅法・展開⽅法を提案する。知財戦略の顧問先も多く、各種知的財産権の侵害訴訟の経験を活かし、⽇本だけでなく、ほとんど全ての国での権利保護を担っている。