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中小企業向け海外展示会の攻略法【専門家監修】

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中小企業向け海外展示会の攻略法【専門家監修】

海外進出を進めている中小企業にとって、海外で開催される展示会に出展して商談に結び付けることができれば、海外販路開拓を成功させるきっかけになります。

今回は、海外展示会の出展までの流れと、成功事例、失敗事例を紹介します。海外出展の参考になれば幸いです。

日本と海外の展示会の違い

海外の展示会は日本と違う点があります。違う点を意識しながら出展の準備を進めていきましょう。

商談をすることが目的

海外の展示会では商談を円滑に進められるよう、商談スペースを日本よりも比較的広く設定しています。日本ではどちらかというと製品を展示するためのスペースを優先にしている傾向があります。

また、日本では、顧客接触の入り口となる製品紹介と名刺交換を展示会のゴールとして意識している傾向にありますが、海外では商談を意識した今後のアクションに進められるような目に見える形での成果を求める傾向にあります。また、訪問者とのコミュニケーションやデモンストレーションで印象に残る体験をしてもらい、長期的な視線で良い関係を構築したいと思う傾向にあります。

ヨーロッパの展示会はお祭り

ヨーロッパには、ハノーバ・メッセをはじめ、メッセ・フランクフルトなど、世界的に大きな会場が複数あります。広大な会場では少しでも来場者に足を止めてもらうために、展示会はお祭りモードになっています。

世界で最も規模が大きいハノーバ・メッセがあるドイツではケルン大学をはじめ、展示会を専門とした学部が設置されるほど展示会による産業発展に力を入れています。

展示会は同業者との交流の場

展示会は来場者とのコミュニケーションの場ですが、同業者と交流できる機会でもあります。特に、製品開発に関わる細かい質問をする競合他社もいます。展示による情報発信だけではなく同業者同士でも様々な情報交換ができ、新たな製品開発のきっかけになる可能性があります。

出展までの流れ

つづいて、出展までの流れについて紹介します。

目的設定

日本でも同じことが言えますが、海外では特に出展の目的を明確に設定する必要があります。

海外進出の目的を明確にする

そもそもなぜ海外に進出したいのか、進出することで自社にどのようなメリットがあるのかなど、海外進出の目的を明確にします。海外進出を展示会から始めたときの投資額は一般的に年間で200~500万円かかります。さらに事業が安定するまで3~5年かかるとされています。この期間、投資を継続するために目的を明確にしてモチベーションを保ちます。

ターゲットを明確にする

展示会に訪れる海外バイヤーは小売業者や卸売業者、代理店などさまざまな立場の方がいます。地域に特価している業者、ニッチな産業を専門にしている業者など、どこをターゲットにするか明確にしましょう。

商談のゴールを設定する

商談するときは製品説明や質疑応答で終わらないようにしましょう。試供品を送る約束をして、見積もりの要求をいただく段階を展示会のゴールに設定するなど、商談成立のアクションにつなげるようにします。うまくいけば自社の工場に訪問したいという話に進められます。

展示会探し

WEBでリサーチ

海外でどのような出展予定があるかについては、ジェトロで検索できます。ここから展示会の候補を洗い出しましょう。洗い出した展示会の公式WEBサイトを見て、対象となる業界や出展する競合企業を調べます。

出展先を決める

出展先は自社の強みが生かせるのかどうか、先行して進出している同業他社に対してどのような優位性があるのか、を整理して出展先が妥当かどうか検討します。出展先では思わぬ製品が輸入の規制対象になっている場合があるため出展する製品が規制対象かどうかチェックします。

出展準備

出展を申し込む

出展先の公式WEBサイトに掲載された出展案内から出展申し込みの期間を調べましょう。主催者によっては、1年以上前から受け付けている場合もあります。また、展示会では出展可否を審査する場合もあります。主催者、もしくはジェトロに申し込みをします。

出展マニュアルを確認

海外の展示会では準備することが多いので、出展マニュアルは必ず事前に確認しておきましょう。公開されるまで待つのではなく、前回発行されたマニュアルでもいいので確認しておき、最新版が発行された段階でもう一度目を通します。

展示品の輸送

海外の輸送は通関があるため時間がかかります。また、万が一通関で止められた場合は資料提出までの間、税関での保管費用が取られる場合があるので、材料証明書などの資料をすぐに提出できるように準備しておきます。そのため、展示品の出荷日は意外と早く設定されることもあります。輸送については気をつけることが多いためジェトロが事前に出品予定者を集め、出品物を輸送する方法について説明会を行うことがあります。

商品PR資料を作成

海外バイヤーは企業よりも商品に興味を示します。会社案内の資料よりも商品をアピールしたパンフレット作りに力を入れましょう。
現地に合わせた言語にするのが望ましいのですが、ネイティブにわかりづらい翻訳の仕方をするとせっかく強みを生かせるような製品や技術を持っていても、翻訳の質とともに会社のイメージを下げることになってしまいます。まずは質の高い翻訳がし易く、さまざまな国で認知されている英語への翻訳をお勧めします。翻訳は多少コストをかけてでも信頼できるところに依頼しましょう。また、ブランディングのために日本語をあえて残すことも効果的です。英語の名刺も忘れずに準備しましょう。

出展予算を確認

出展予算は展示品や輸送費用だけではなく、出展料やブースの設計・施工費用、カタログやパンフレットの印刷代、展示会参加者の旅費が発生します。また、展示会の後に現地に滞在してバイヤーと会食する計画があれば、そちらも含めてなるべく詳細に予算を積み上げます。予算がない場合はブースの設計を工夫するなど、何を削減できるか検討します。日本公庫の「海外展開・事業再編試験」から出展にかかる費用の融資を受けられる場合もあります。

通訳に事前の準備をしてもらう

日本企業が出展する割合が高い展示会では、その分通訳者の予約が多くなるため、アクションが遅れると優秀な通訳者が探せないこともあります。出展を決めたらなるべく早く現地の通訳者を予約しましょう。

通訳者の予約ができたら、事前によく打合せをします。商品の特徴や出展の目的、通訳に期待していることを理解してもらい、訪問者に滞りなく商品説明ができるようにします。通訳者には事前に商品やサービスの説明文を渡しておきます。突っ込んだ質問をされたときだけ、自分たちの返事を通訳してもらうようにします。また、通訳者には商談内容を記載するシートの書き方などを事前に説明しておき、想定される質問についてはQ&Aの英語版を作成しておき、自身が英語で答えられるように丸暗記しておくのをお勧めします。訪問者にとっても当事者と直接コミュニケーションを図るほうが企業の印象が良くなります。

海外向けWEBサイトを準備しておく

展示会で繋がりができたバイヤーは、出展している企業のWEBサイトを見て信用できる所なのかをチェックします。そのために海外向けWEBサイトを作っておくことをおすすめします。

見込み客を事前に呼び込む

規模が大きい展示会では、訪問者にとって全ての展示会を見ることは不可能に近いです。そのため、よほど認知のある企業のブース以外は素通りすることが少なくありません。バイヤーがブースに立ち止まるよう、ブースのデザインを検討することも大事ですが、取引したいバイヤーがいる場合は事前に招待メール送りブースに来てもらうようにしましょう。バイヤーは訪問する企業を事前にリサーチしていますので、探している製品と一致すれば訪問するブースの候補になります。集客はSNSでの発信も有効です。海外でビジネス用に多く使われているLinkdinに登録することをおすすめします。

出展

いよいよ出展の日を迎えますが、出展当日や出展が終わった後にやるべきことを紹介します。

有望な商談先とは記念撮影をしておく

バイヤーに顔を覚えてもらうために記念写真を撮っておきましょう。後日お礼のメールを送る際に写真を添付することでお互い顔を忘れないまま、次回の打合せに臨むことができます。

交渉の権限を持つ人がブースに待機する

展示会では、製品の価格や取引などの条件についてその場で回答を求められることが多々あります。このとき回答できる権限がなく持ち帰ってしまってはせっかくの機会を失うことになります。展示会では必ず、交渉の権限をもつ社長や責任者にブースに待機してもらいましょう。ただし、同時に手配や事務作業をこなすことは困難なので、事務専用の担当者もブースに待機します。

帰国前にアポイントを取る

展示会が終了したあとは帰国する前にできるだけ相手企業を訪問したり、店舗をリサーチしたりします。帰国後に対応するよりも、より相手を知って適切な提案ができるようになります。

次回展示会の予約をする

次回も同じ展示会に出展する場合は帰国する前に次回の出展予約をします。帰国後の遅いタイミングで交渉するよりも、有利な位置でブースを獲得できる可能性が高くなります。

フォローアップ

商談後は相手の気持ちが変わらないうちに早めにフォローします。特に有望な商談先を優先してお礼のメールを送ります。展示会で一緒に撮った写真や企業のURLを添付し、企業の商談を進めるために返信をもらう工夫が大事です。このとき、商談した相手のことを調べておいて、お礼メールの段階で提案できるのがベストです。返事が来ない場合は、メールが埋もれていて未開封の可能性があります。あきらめず、間をおいてもう一度メールしてみましょう。

事例

海外の展示会に出展して成功した事例と失敗した事例を紹介します。

成功事例

インテリア用品を扱うM社の事例です。長期的な目線で海外への進出を進めようとジェトロに相談しました。ジェトロ専門家のアドバイスを受けて、アメリカを輸出先の候補にしました。
それから3か月の間で英語版のWEBサイトを作成。ニューヨーク国際現代家具見本市(ICFF)に出展したところ、海外バイヤーや設計事務所からの問い合わせが増えていきました。1年後には素材の図書館と言われるアメリカのマテリアルコネクション社を介して、世界10か国で展示すると世界中のバイヤーや建築業界から問い合わせが増加し成功につながりました。

成功したポイントは、ジェトロに相談して自社の強みを生かせる進出先を決めたこと、世界中のバイヤーが集う展示会に継続して出展し、バイヤーとの繋がりを強めたことが挙げられます。また、英語版のWEBサイトを開設し、世界中のバイヤーからの問い合わせの受け皿を強化したことがポイントです。

失敗事例

医療機器メーカーを扱うH社の事例です。知り合いの企業が海外に進出しているので、自社も海外に進出してみようと思い立ち、勢いだけで展示会に出展した結果。商談までたどりつけずに帰国した事例です。

失敗した原因としては、進出先の選定ができていなかったことや、ターゲット層を明確にししないまま展示会に臨んだことが挙げられます。専門家にアドバイスを求めなかったのが致命的でした。

展示会に出展すること自体が目的になってしまい、有力な商談先が見つからなかったので展示会後も継続的に営業できなくなりました。後で日本国内にも現地にも拠点がある海外支援サービスを行っているコンサルティング会社の存在を知ったのですが、予算が尽きてしまい断念しました。

成功させるためのポイント

このような失敗事例を避けるために、何を意識していけばいいのでしょうか?専門家からのアドバイスを紹介します。

展示会のリード獲得からクロージングまでの流れを事前にシュミレーションしておくこと

展示会でメールアドレスなどの連絡先を入手した後は、商談成立までの継続的なアプローチが大切です。展示会が終了した後は、すぐに来場者リストをデータベース化しましょう。

商談のあった相手先や有力な見込み客に対し、最終的な契約に至るように訪問営業をしましょう。そのためには、展示会で満足して帰国するのではなく、現地にしばらく滞在するのも方法の一つです。
訪問営業できなかったとしても、帰国後、商談相手の記憶が残っている間に、サンクスメールを出すといいでしょう。できれば一週間以内にメールを送信します。また、依頼のあったサンプルも順次送付しましょう。

展示会場で内容ある商談ができるよう、事前に集客をしておくこと

主催者は来場者の誘致を行ってくれますが、会場まで来た来場者を自社のブースに誘致するのは各展示者自身でしなければなりません。事前に有力な見込み顧客になりそうな企業をリストアップして、開催14日前を目安にダイレクトメールを発送します。
大事な顧客であれば有料の入場券を同封して訪問を促します。予算はかさみますが、事前に集客できる効果的な方法です。展示会によっては使用した分のみ後日請求がくるバウチャー制度をとっていることもありますので、投資した分訪問してもらう可能性は高くなります。
自社で持っている顧客リストがないと事前にメールを送るのは難しいのですが、下記から新規顧客を探すことができます。
・職業別電話帳(イエローページ)や海外企業のダイレクトリー
・各国にある在日大使館や貿易促進機関、商工会議所などの在日代表部から
その他ダイレクトメールの専門会社から顧客リストを購入する手段もあります。

日本企業同士で群れるのではなく、取引をしたい現地企業と会食に行くこと

取引したい現地企業と信頼関係を深めるためには、単に商談するだけではなく、会食に行くのが効果的です。お互いの趣味嗜好を把握することは信頼関係にも繋がります。また、現地での需要や、政治や宗教などの文化的な側面が把握することで、効率よく商談を進めることができます。
商談先が海外現地の日系メーカーであれば日本企業同士で会食することもありますが、せっかくの現地訪問です。できるだけ現地の人とコミュニケーションを取って、海外進出の視野を広げていきましょう。

サービス紹介

展示会に出展する方法やその後のアフターフォローの仕方について紹介しました。展示会に出展するためにさまざまな準備が必要になりますので、そこまでの道のりが遠く感じてしまうかもしれません。GSJでは展示会に関わる一連の業務をトータルでサポートしておりますのでお気軽にご相談ください。

提供サービス

GSJでは展示会に関わる以下の業務をサポートいたします。全てではなく、輸送など個別の業務だけでも構いませんので、進め方でお困りの際はご相談ください。

海外展示会の出展のトータルサポート

海外展示会の選定から、ブースの設計および展示物の選定、物流、リード獲得から商談までをフォローします。
御社の強みをしっかり理解し、進出先に適した展示会を提案します。顧客の興味を引くブースの設計や展示物の選定には実績があり、これまでの実例を紹介しながら一緒に形にしていきます。通関などさまざまな手続きが必要な展示物の輸送をサポートします。有望なリードに対しては商談成立につながるまでしっかりフォローします。

海外展示会の営業アポイント支援

展示会へ見込み客や販売店候補を誘致するための営業アポイントを支援します。
入場券付きの招待メールの送付や、SNSによる集客など、展示会に訪問してもらうための施策を提案しサポートします。御社の知らない見込み客や販売店候補のリストアップとアポイントを支援します。

海外展示会への同行支援

海外営業経験のある専門家が、海外の展示会へ同行し、営業の支援および通訳をします。単に通訳するだけではなく、展示会で商談成立した実績がある専門家が同行しますので、展示会後の重要なアポイントを決めるまで安心してサポートを受けることができます。

GSJ認定専門家

■ この記事の執筆者代表理事・認定専⾨家 深野 裕之

■ プロフィール概要 所属(肩書):NPBトレーディング株式会社代表取締役
専門領域:海外販路開拓

■ プロフィール詳細 海外の新規開拓を中⼼としたコンサルティング、ビジネスマッチングの専⾨家。これまでに47ヶ国に新規の販路開拓をしてきた経験と⼈脈を活かし、これから海外事業を始めたい企業、なかなか海外事業の成果が出ずに悩んでいる企業をサポートしている。新型コロナウィルスの感染が広がりはじめた3⽉から、海外企業とのオンラインビジネス交流会を4回実施。121社が参加し、マッチングの実績も多数あり。また、海外企業と、個別商談サポートも⾏っている。