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輸出ビジネスの貿易実務をゼロから専門家が解説

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輸出ビジネスの貿易実務をゼロから専門家が解説

By GSJ事務局

海外進出のため、海外の代理店・販売店や顧客とめぐり合ったら、いよいよ実際の交渉に移ります。本記事では、契約前の交渉から、納品・入金にいたるまでの貿易実務を専門家の視点から解説します。

前準備と心構え

まずはじめに、情報開示に関する注意点や信用調査など、交渉の前段階で行う業務と、その際の心構えを説明していきます。

ファーストコンタクトでの情報開示とNDAについて

まず、ビジネスマッチングによる引合いや展示会等で開示する情報は一般カタログに記載してある商品情報やスペックまでに留めた方が得策です。

また、価格や取引条件に関しても、全ての取引先に対して共通のプライスリスト(価格表)を事前に準備しておき、参考の輸出価格を提示します。共通のプライスリストは最小発注数量(もしくは最低発注金額)を想定して、メーカー希望の輸出価格で作成してください。

この共通プライスリストをベースに、個別の取引条件を詰めながら価格交渉して行くので、最初から交渉の余地が殆ど残らないような条件提示は絶対に避けましょう。

NDA(機密保持契約)を締結する

NDAは海外との商習慣の違いもありますが、取引先(候補)と交渉を進める上でとても重要な契約となります。

例えば、交渉を進めて行く中で、当然商品やサービスに関連する詳細データ、資料、成分表、試験結果、技術データ、図面、申請中の特許、ノウハウ等、色々な情報の提供を求められます。

そこで、100%相手を信頼して、何の制約もなく自社の機密情報を開示するとどうなるか?取引先候補にのみ重要な機密情報を開示したのに、知らないうちにライバル社やその他の第三者に情報が流出していた、いつの間にか類似品や類似サービスが世間に出回っていた…なんてことが往々にして起こりうるのです。

性善説に基づいた日本人的な発想は、海外取引では思いも寄らないトラブルの原因になるため、相手を信用しすぎず、念には念を入れて、NDAは必ず交渉に入る前に締結しましょう。

信用調査をする

海外ビジネスを成功させる大きなポイントは、信用できる相手と継続的な取引をすることです。きちんと契約を履行してくれる誠意ある取引先と信頼関係を築き、長期間に渡るパートナーシップを確立することが成功のカギと言えます。

では、相手の何を調査するのか?信用調査には「4C」と呼ばれるポイントがあります。

  1. Capital(資産や財務状態)
  2. Capacity(営業能力)
  3.  Character(誠実性、信頼性)
  4. Conditions(政治的・経済的事情)

「4C」を調査するためには次のような方法を取りましょう。

① インターネット
インターネットが普及する昨今では、殆どの会社が自社ホームページを持っているので、そこから会社概要を確認する。

② 銀行信用照会
自社の取引銀行を通して、相手の取引銀行に打診してもらう。

③ ダンレポート
D&B社が行う世界で最も利用されている企業信用調査で、世界中の企業の信用格付けや財務、経営状況等を記載している。日本では、東京商工リサーチが窓口となっています。

相手の財務基盤や営業能力・信用力が、後の輸出価格や支払方法、取引条件等の取決めに大きく影響します。また、今後の代金回収リスクや事業の発展性を考えたら、多少投資してでもパートナーの信用調査は必ずしっかりと行うことをお勧めします。

交渉にあたっての心構え

日本ではよく「お客様は神様です」なんて言葉を聞きますよね。実際、日本では買う側の立場の方が圧倒的に強いのが一般的です。

では、この常識が海外ビジネスでも一般的なのか? 答えは「NO」です。実は、海外ビジネスでは売り手も買い手も基本的に立場は同じと考えるべきです。むしろ、売り手の方がちょっと強気な場合が多いのです。

なぜなのか?売り手が商品やサービスを売ってくれないと、買い手は幾らそれらが欲しくても手に入れることができない。つまり、売り手が供給してくれて、はじめて買い手が利益を得ることができると言うのが基本的な考え方です。

相手先(買い手)から無理な要望をされたら、ハッキリと「NO」と言う勇気を持ちましょう。

はじめの一歩、商品サンプルについて

買い手側が自社の商品やサービスに興味を持ってくれて、大抵の場合、本格的な交渉が始まる前にまず要望されるのが商品サンプルです。その商品サンプルの意義と発送方法などについて説明します。

商品サンプルの重要性

買い手はまずはじめに、商品サンプルがどのようなものなのか実際に手に取って、品質や性能、仕様等を確認します。また、実際にその先の取引先に商品サンプルを見せて反応を伺うなど、プレゼンテーションやマーケティングのツールとして使用する場合もあります。

もうお気付きだとは思いますが、商品サンプルは契約の成否を左右するくらい非常に重要な役割を果たすのです。

一昔前、海外の輸出メーカーではよくある話でした… 最初に届いた商品サンプルの出来は素晴らしく申し分なかったのに、いざ取引が始まり量産に入った途端に商品の品質はガタ落ちで不良品の嵐、最初のサンプルとは仕様が異なる…なんてことが(泣)。彼らも気付いていたのです…サンプルの重要性を。

買い手にとっては、最初に手にする商品サンプルが全ての判断基準となりますので、サンプル発送する前に必ず品質チェックや磨き(見た目のチェック)は入念に行って下さい。また、パッケージや取扱説明書、付属品、梱包方法のチェックもお忘れなく。

商品サンプルは有償or無償?と発送方法

次に、サンプルを発送するにあたって、サンプルを無償提供するのか、有償とするべきか?悩むところですね。

海外取引においては、通常サンプルは有償なことが多いです。取引が成立するかどうか未だ分からない段階で、売り手が買い手の商品開発や営業活動に関連するコストを支援する必要はないと割り切って、サンプルの要望があった時は購入してもらいましょう。サンプルが有償だったら要らない、なんて言う相手とはどのみち契約成立には至らないと考えるべきです。

とは言え、やはり取引先候補に対して少しでも協力的な姿勢を示したい、良い印象を持ってもらいたい…と考えるのであれば、サンプル特別価格として通常より少し安い価格で販売する(必ず特別価格であることをハッキリ伝えましょう)、もしくは契約成立後の初回受注時にサンプル代金を値引きするなど、後につながる方法を提案するのも一つの手です。

商品サンプルの輸送方法

海外に小口貨物(サンプル)を送るには、以下の方法があります。他にも色々方法はありますが、ここではトラッキング(貨物追跡)サービスが利用でき、輸送時の事故や損害に備えた保険が付くサービスを紹介します。

①EMS(国際スピード郵便)

郵便局が窓口となります。メリットは他の国際宅急便と比べて圧倒的に安い。
デメリットは、重量制限があり30kgまでの貨物しか受け入れてもらえない上、寸法にも制限がある。運賃着払いができない。地域によっては、国際宅急便より1~2日、配達時間が長くなる場合もある。

②国際宅急便(外資系)

  • UPS
  • FedEx
  • DHL

メリットは、とにかく早い。そして、相手先がアカウント(口座)を持っていれば、運賃着払いにすることができる。かなり大きな貨物にも対応しているので(但し、寸法制限あり)、一度問い合わせをして見積を取ることをお勧めします。

デメリットは料金がやはり高い。

サンプルの輸送費は輸入者が負担することが一般的です。外資系の国際宅急便はメジャーな3社ですので、海外取引をしている企業であれば、上記のいずれかの会社でアカウントを持っているケースが多いです。

輸入者のアカウント番号を入手し、送り状の運賃着払い(freight collect)にチェックマークを入れるだけで済むので非常に便利です。今後頻繁に海外へ貨物を発送する場合は、法人アカウントを開設すると法人向け運賃レートを設定している場合があるので、いずれか1社でアカウントを開設することをお勧めします。

また、輸送コストを抑えたい場合は、サンプル代金とEMS運賃を予め輸入者に請求し、入金確認後EMSで発送するという方法もあります。

インコタームズとは?

サンプルを発送するだけでも、商品代金をどうするか、運賃はどっちが負担するか、保険は…等々、色々と考えなければいけないことが沢山あります。実は、貿易においてこれらの取引条件を細かく取決めている国際的な基準として、INCOTERMS(インコタームズ)と呼ばれるものがあります。

貿易取引条件の国際基準【インコタームズ】

国内の商取引とは違い、海外取引では商品が国境を越え、長期間の輸送を経て輸入者に引き渡されます。輸出者の工場や施設を出発し、輸入者の施設に到着するまでの間に発生する国内輸送費、通関費用、港湾コスト、運賃等、どちらがどの費用を負担するのか、どの時点で商品が輸出者から輸入者に引渡されたと見なすのか、また輸送途中で商品の損害があった場合、どちらがリスクを負うのか…を明確に規定し、標準化したものがインコタームズです。

見積りを出す前に、まずインコタームズをきちんと理解する必要があります。インコタームズを理解することは、先の条件交渉を有利に進めると共に、あらゆるリスクを予め軽減するのに役立ちます。インコタームズ2010では、11の貿易取引条件に分類されますが、実際の海外取引でよく用いられるのは恐らく4種類程度です。

主な4つの取引条件

海外取引を始めるに辺り、まずインコタームズをしっかりと理解しましょう。国により貿易取引条件の解釈が異なることで発生するトラブルを回避するために制定された、世界共通の貿易取引条件とその解釈に関する国際規則がインコタームズです。売主と買主間の物品の引渡しに関するリスク移転の分岐点、役割や費用(輸送の手配と運賃の支払い、保険の手配と保険料の支払い等)の負担区分など、それぞれの条件の下で売主と買主が負うべき義務がまとめられています。

「インコタームズ2010」では、11の貿易取引条件(規則)に分類されていますが、実際の貿易で最もよく使われる取引条件は以下の4つです。

・EXW (Ex-Works)
工場渡し条件。工場で買主に貨物を渡したら、そこから先の全ての費用及びリスクは買主の負担となる。

・FOB(Free on Board)
本船渡し条件。輸出港で買主が手配した本船の船上に貨物が置かれた(on board)時点でリスクが売主⇒買主に移転する。また、本船上に貨物が置かれるまでの費用を売主が負担する。つまり、保税倉庫への国内輸送費、輸出通関費用、船積費用等までは売主の手配&負担となり、そこから先の海上輸送費や海上保険等は買主の手配&負担となる。

・CFR (Cost & Freight)
運賃込み条件。リスク移転の時点はFOBと同じだが、売主が負担すべき費用&手配がFOB+仕向地(輸入港)までの海上輸送費となる。

・CIF (Cost, Insurance & Freight)
運賃保険料込み条件。リスク移転の時点はFOBと同じだが、売主が負担すべき費用&手配がCFR+仕向地(輸入港)までの貨物保険料となる。

つまり、同じ見積価格1,000円であったとしても、その1,000円が工場での引渡し価格なのか、輸入者が指定する港までの輸送費を含んでいるのか、もしくは輸送費や保険料を含んでいるのか等、1,000円の意味が異なります。この違いを明確にしたものがインコタームズです。

既にお気付きだと思いますが、輸出者にとって最もリスクが少なく、一番手離れが良いのはEx-Works(工場渡し条件)です。工場で貨物を引渡してからの全てのリスクやコストは輸入者側に移転する上、輸送の手配をする必要がないため輸出ビジネス初心者は基本的にEx-Worksでの取引を前提に輸入者との交渉を進めることをお勧めします。

ただし、輸入者にとっても不慣れな日本での船積みまでの国内輸送や輸出通関を手配するのはなかなか困難なもの。実際の貿易実務では、取引条件がEx-Worksであっても輸入者の依頼により輸出者が代行して日本国内の輸送・通関を手配することが多々あります(但し、費用は輸入者負担です)ので、可能な限り協力をすることは大切です。

輸出価格をどう設定する?

インコタームズが理解できたところで、輸出価格をどうやって設定すべきか。まずは、輸出価格に加味すべきコストについて考えてみましょう。

・商品梱包費

国内取引とは異なり、貿易では工場を出発して輸入者の手元に届くまで、長い輸送期間を要します。商品の梱包は長期の輸送に耐えうるものでしょうか?長期間の輸送中に商品が劣化したり、荷崩れや箱潰れが発生したり…なんて、よくある話です。再度、梱包の強度を見直してみて下さい。

また、ある程度物量があり木製のパレット積みや木枠梱包をする場合は、必ずIPPCマーキングが押印された木材を使用しましょう。ISPM No.15(植物検疫措置に関する国際基準)において、防疫上適切な熱処理または燻蒸処理を施した梱包用木材を使用することが定められていますので、輸出用木材・梱包材生産者より見積を取ることをお勧めします。
たとえ取引条件がEx-Worksであっても、ここまでの費用は売主側の負担です。

・工場から保税倉庫までの国内輸送費

コンテナ積みであれば、コンテナ輸送費

・輸出通関に掛かる費用

輸出申告、税関検査料、取扱料など輸出金額に関わらず、取扱い件数1件につき発生する費用があります。ちなみに、原則、輸出貨物に対して関税・消費税は発生しません。

・港湾・荷役費用(FOBの場合)

保税倉庫から本船まで貨物の移動費、積込作業費用、ハンドリングチャージ等

・輸送費(CRFの場合)

海上運賃(または航空運賃)、燃料サーチャージ(BAF)、通貨変動調整費(CAF)、繁忙期の割増料金等

  • 貨物保険料(CIFの場合)
  • 代金支払いにかかる銀行手数料
  • 外国為替の売買による手数料
  • 為替変動リスク

上記の通り、貿易取引条件によって輸出価格に諸費用を上乗せしていきます。ここで気を付けたいのが、輸送費は物量により変動し(コンテナ輸送の場合はコンテナ1本単位の輸送費)、通関や税関検査などは取扱件数ごとで費用は固定など、費用の項目によっては物量により変動するものと固定のものがありますので、FOBやCRF、CIFで輸出価格を設定する場合は、採算が取れるように最低発注金額や最低発注数量等を必ず見積書に明記しましょう。

また、代金支払いの際にも必ず銀行手数料や通貨によっては為替売買の手数料が発生します。この手数料もなかなか侮れないので、事前にしっかりチェックしましょう。

輸出価格の通貨はどうする?

一番リスクが少ない方法…それは円建てで売買すること。為替変動リスクを負わなくて良い上に、為替売買による銀行手数料が少なくて済むからです。ただ、残念ながら日本円は基軸通貨ではないため、欧米諸国では日本円での決済を嫌がられることが多いのです。東南アジア諸国では比較的日本円が受け入れられる場合も多いので、一度打診してみる価値はあります。

では、売買を日本円以外の通貨で行う場合はどうするのか? やはり基軸通貨である米ドルが一番効率が良いのです。当然、為替変動リスクは切り離せませんが、それはユーロであれ、その他の現地通貨であれリスクは同じ、もしくは米ドル以上に高くなります。そして何よりも、外貨⇔日本円に換金する時の手数料が、他の通貨に比べて米ドルは圧倒的に安くなるため、代金決済にも有利になります。

輸出価格の設定にあたっては考慮すべきコストが沢山あります。全ての項目において、必ず数社から相見積りを取り、選択肢の幅を広げておきましょう。

代金決済について

輸出価格に加味すべき費用や価格設定の考え方、取引通貨についてイメージができてきたところで、次に代金の回収をどうするかを考えてみましょう。

貿易の性質上、異なる国と国の間における商品の売買取引となり、売り手と買い手とが遠く離れているため、売買の成立や商品の引渡し、代金決済の時期がズレて行われます。特に代金が後払いの場合、売り手(輸出者)には商品を出荷したが代金を回収できない不安が残ります。

一方、代金が先払いの場合、買い手(輸入者)には代金を支払ったが商品が届かない不安が残ります。つまり貿易では、輸出者にとって都合の良い支払条件は輸入者にとってリスクとなり、輸入者にとって都合の良い条件は輸出者にとってリスクとなるため、相反する関係にあるのです。

最初に取引相手の信用調査に時間を掛けてしっかり行うようアドバイスしたのも、取引条件の交渉をするにあたり、取引相手に対して許容できるリスクの範囲を慎重に判断するのに必要だからです。

実際問題、輸入者から期日までに支払がなかったとしても、すぐに現地に飛んで行って代金回収、または差押えするのはほぼ不可能です。最悪の事態を想定しつつ、相手の信用度を考慮し、自社にとってのリスクの許容範囲を考えてみましょう。では、リスクヘッジするために、実際にどのような代金決済方法が貿易実務で取り入れられているのか見てみましょう。

T/T送金(電信送金)

銀行経由の海外送金で、最もよく使われています。手続きが簡単で資金到着が早く、銀行手数料も少なくすみます。サンプル購入や初回取引などで売買金額が少ない場合は、T/T送金の100%前払いを条件にしても良いでしょう。

但し、売買金額が大きくなってくると、当然ながら殆どの輸入者は100%前払いを嫌がります(輸入者が100%リスクを被ることになるため)。そこで、貿易実務でよく用いられるのが、お互いリスクを分担するためデポジット(前金)とバランス(残金)支払いに支払い時期を2回に分けます。注意すべきは支払いの比率とタイミングです。

① 比率
輸出者としては、できる限り前金の割合を増やしたいところですが、リスクを平等に負担するのであれば、50%前金/50%残金支払いがフェアだと思います。一度契約書を締結すると取決めた支払条件を途中で変更するのは非常に難しいので、この前金/残金の比率は事前にしっかり交渉しましょう。

② タイミング
・ デポジット(前金): できればオーダー受領後1週間~10日以内
デポジットはオーダーのキャンセル防止にもなりますし、輸出者はデポジットを原材料の調達に充てることも可能だからです。
・ バランス(残金): 船荷証券(= Bill of Landing: 通称「B/L」と呼ばれます)発行後3~7日以内

輸出者にとっては残金の回収は早いに越したことないですし、本来ならば残金は船積みする前に回収したいところ。ただ、輸入者側からすると本当に全ての貨物がきちんと船積みされたのか確認もできない内から残金を払うのは非常に不安です。そこで、船荷証券(B/L)が大いに役立ちます。

船会社は、貨物の船積みを確認する際に受領証を発行します。その受領証がB/Lです。B/Lは船会社によって貨物が確実に船に積み込まれたことを証明する書類であり、輸入者はB/Lの発行を以って貨物の船積みを確認することができるため、安心して残金の支払いをすることができます。

また、B/L Original(原本)は有価証券でもあり、輸入者が貨物を引取るための引換証になります。つまり、輸出者がB/L原本を輸入者に引渡さない限り貨物の所有権は輸出者にあるため、輸出者も安心して残金入金前に貨物を船積みすることができます。

そして最も大事なことですが、輸出者がB/L原本を船会社に戻す(これを「元地回収」または「サレンダー」と言います)と、輸入者はB/L原本がなくても貨物を引取ることができるようになるため、輸入者にはまずB/Lコピーを送って残金の支払い依頼をし、B/L原本は残金の入金確認をしてから船会社に戻します。

また、航空便を利用する場合に航空会社から発行される航空貨物運送状(AWB= Air Waybill)には有価証券としての機能はないため、輸入者は原本がなくても貨物を引き取ることが可能です。航空便を利用する場合は、必ず残金の入金確認をしてから航空便を手配することをお勧めします。

L/C(信用状)

大きな取引をする場合に最もよく使われるのが信用状(L/C =Letter of Credit)による決済です。信用状とは、輸入者の依頼により輸入者の取引銀行が輸出者に対し商品代金の支払いを保証する書類で、輸出者は輸出者の取引銀行を通じて代金の取り立てを行います。つまり、輸出者と輸入者、それぞれの取引銀行による信用関係で成り立つ支払い方法です。

L/Cの発行は銀行にとってもリスクが伴うため、銀行は実績のない会社や取引のない企業に対してはL/Cを開設してくれません。つまり、「L/Cが開設できる会社=銀行から信用がある会社」と見なすことができます。

L/Cのメリットとしては、もちろん銀行が代金支払いを保証するので代金回収のリスクが低い、輸入者が決済する前でも輸出者はL/Cを担保にして銀行から現金を調達することができることです。

デメリットとしては、銀行手数料が高い、L/C上で取引に細かい条件が付く(船積み期限や積地港、揚地港、商品名、数量、金額、貿易取引条件等)、L/Cに記載された諸条件(船荷証券など買取りに必要な書類含む)と一致していないと買取りしてもらえない場合があるので手続きが複雑なことです。

① L/C開設のタイミング
L/Cはオーダー受領後できるだけ早く開設してもらいましょう。輸入者が取引銀行にL/C開設を依頼すると、通常1週間くらいで輸出者が指定する輸出者の取引銀行経由でL/C開設の通知が届きます。

② L/Cのチェックポイント
・ 商品名や数量、金額、取引条件、納期などが売買契約と一致しているか
・ 取消不能L/Cであるか
万一、売買契約で取り決めた内容と相違がある場合や、L/Cの内容に誤りがある場合はL/Cをアメンド(修正)してもらう必要があります。

以上、2つの代金決済方法をご紹介しました。取引の初期や取引金額が小さい場合はT/T送金、大口取引になってきたらL/C決済と考えれば良いでしょう。つまり、売買契約書の支払条件は「T/T送金(比率とタイミングの明記はお忘れなく!)またはL/C開設」とするのがベストです。

売買契約

代金決済方法も理解できたところで、いよいよ海外取引のハイライト「売買契約書の締結」についてお話したいと思います。

商談が成立したら、最後は契約書の締結です。単発の取引であれば、さほど細かい条項を設けた契約書は必要ありませんが、どうせなら末永く取引を継続できるパートナーを見つけたいものです。良いパートナーシップを築くには、お互いの役割分担や義務、責任の範囲等、細かい取決めを明確に事前に協議することが必要です。

ちなみに、裁判の国アメリカの企業やグローバル企業との売買契約書は何十ページにも及ぶことも珍しくありません。そこまでではないにしろ、後々のトラブルを回避するため、契約時に最低限取決めておくべき項目をリストアップしてみました。

契約時に取決めること

  • 契約の当事者(売り手、買い手、仲介業者等)の名称及び所在地
  • 契約期間
  • 取引する商品内容や使用通貨、価格
  • 貿易取引条件
    保険料の負担や、貨物のリスクがどの時点で移転するか明記する(「最新のインコタームズ」、または「インコタームズ○○」の規定に基づくとなる場合が多い)
  • 最低発注数量や金額(オーダー毎/年間など)
  • 品質や仕様
    最初のサンプルと品質や仕様が異なるなど、結構クレームやトラブルの原因となるため、仕様書を契約書に添付することをお勧めします。
  • 輸送手段
  • 納期
  • 支払条件
  • 製品の品質保証や瑕疵があった場合の対処方法
  • 守秘義務
  • 不可抗力
    天災やストライキ等、自身ではコントロールできないことが原因で発生する納期の遅延や引渡し不能に対する免責条項。日本ではストライキは滅多にありませんが、地震や台風等の天災はやはり有りますので、契約書の条項に入れることをお勧めします。
  • 知的財産権の保護に関する取決め
  • 契約不履行時の措置
  • 契約解除
    取引先が破産申請した、債務不履行となった、犯罪に関わった等、契約を解除する場合を明記。また、契約解除した後でも、当然支払い義務や守秘義務等は存続することを盛り込むことをお勧めします。
  • 紛争が発生した場合の仲裁方法
    当事者間で紛争が起こった場合、仲裁または訴訟にて解決します。一般的に、自国での仲裁(日本の場合は、日本商事仲裁協会)や、準拠法を日本法とし管轄裁判所を日本とした方が私達には有利となります。仲裁や訴訟の費用や労力を考えると、実際には滅多に起きないことですが、有事に備える必要があります。ここはとても大事なポイントなので相手も必ず自国での仲裁や訴訟を主張して、譲らない場合が多いです。どうしても埒が明かない場合は、両当事者の中間位に位置する第三国を選ぶという方法もあります。

恐らく、かなり大変そう…と感じられたかと思います。実際、不慣れな契約書の作成はとても大変ですし、素人では見落としがちな決め事も多々あるので、必ず弁護士に相談しましょう。事前に契約書で詳細を取決めることにより、後々起こりうるトラブルも回避もしくは早期解決をすることができます。

契約書の雛型(マスター)を一度作ってしまうと、あとは取引先に応じて所定の箇所を修正するだけで、繰り返し利用することができます。海外取引の成功のためにも、大変ですが契約書は弁護士や専門家に相談しながらしっかりと作り込みましょう。

トラブル発生!こんな時どうする?

契約書を締結して、実際に貨物が動き始めると思わぬところからトラブル発生。海外取引では相手国と離れているため、上手く対応しないと余分な時間とコストが掛かってしまいます。また、早く対応しないと問題がどんどん大きくなってしまいます。ここでは、実際に起こりうるトラブルと早期解決に向けた対応例を紹介します。

① 製品不良に対するクレーム
高い技術力と品質を誇る日本のメーカーにとって、不良品の割合は非常に低いとは思いますが、ゼロではないのも事実です。扱う製品にもよりますが、製品に瑕疵があった場合の対応として、

・小さな製品であれば、あらかじめ不良交換用パーツとしてオーダー数量に対して何パーセントかの製品を無償で提供する。不具合が発生した場合は、現地で不良交換用パーツから修理や交換に充ててもらう。

・大きな製品であれば、メンテナンス用パーツリストで常時保有すべきパーツを予め指定し、輸入者にパーツ在庫を持ってもらう。不具合等の対応で使用したパーツは、後で無償提供するか返金する。

いずれの場合も、輸入者が現地でメンテナンス用パーツや交換用パーツ(本体)を保有しているので、即座に対応が可能です。海外取引では、コスト削減のためにも極力モノが行き来する頻度を減らすのがカギです。

② 製品から発火した、または製品で事故が発生した
事故と聞くとドキッとしますが、ここは冷静に判断を。まずは、取引先から事故の状況をヒヤリングし情報収集すると共に、すぐに技術者または製品に精通した専門家を現地に派遣します(もちろん事故の程度によりますが…)。

実は、この即座の行動が取引先に安心感を与えるのです。起こってしまった事故に対し、技術者が現地できちんと製品を調査・分析し、早急に原因究明に取り組む姿勢が信頼回復のカギとなります。

③ 荷崩れ
国際輸送において結構多いのが荷崩れです。工場出荷時にはキレイに梱包されていた、またはパレット積みされていた貨物が、輸入者の倉庫に着いた頃には荷がグチャグチャに崩れ、商品が破損していたというケース。

当然、長期の輸送に耐えうる梱包をするのは輸出者の責任ですが、実際に国際輸送では、工場出荷⇒保税倉庫⇒コンテナ詰め⇒保税輸送⇒船積み⇒(仕向地到着後)⇒保税輸送⇒コンテナ降ろし⇒保税倉庫⇒指定倉庫と、工場を出発してから輸入者の倉庫に到着するまでに、実に沢山の人が移送やフォーク作業に関わっているので、どの時点で荷崩れが起こったのか追跡することは非常に困難です。

そのために、海上保険に加入するのですが、まずは工場出荷時は無傷であったことを証明するためにも、必ず貨物出荷前に梱包の様子やパレット積みした貨物の写真を撮っておきましょう。

また、水濡れもよく発生するトラブルです。貨物はラッピング(サランラップの巨大版のようなものでぐるぐる巻きにするのです)することで、ある程度水濡れから保護することができる上、荷崩れ防止にもなります

フォワーダーの選び方

売買契約書を締結して、L/C開設の通知を受け(または、T/T送金にてデポジット入金確認後)、いよいよ貨物出荷の準備です。

取引条件がEx-Works(工場渡し条件)の場合は、工場で貨物を引渡してからの全てのリスクやコストは輸入者側に移転するため、基本的には工場から先の輸送手配は輸入者が行うことになります。ただ、実際の貿易実務では取引条件がEx-Worksであっても輸入者の依頼により輸出者が代行して日本国内の輸送・通関を手配することが多くあります(勿論、費用は輸入者負担です)。

貿易ビジネス・ビギナーにとって、いきなり船会社に直接連絡して船腹の予約、保険の手配、複雑な輸出通関等を自力で行うのはまず不可能です。また、大手商社とて自社で通関業務を行うところなど殆どありません。では、誰がその一連の業務を請負うのか…そこで協力してくれるのが、フォワーダーもしくは乙仲(「おつなか」と読みます)と呼ばれる国際輸送業務を一貫して引き受けてくれる業者さんです。

フォワーダーの選び方

貿易ビジネスは、まずパートナーとなるフォワーダー(もしくは乙仲)を選定するところから始まります。フォワーダーは昔から貿易業に携わってきた港湾運送事業者や倉庫事業者が多く、インターネットで検索するだけでも大小沢山のフォワーダーを見つけることができます。フォワーダーは、自動車輸送を得意とするところや青果、農作物、重機、化学品、繊維など、各社がある程度得意分野を持っています。

また、ヨーロッパには強いけど中国が弱かったり、アジアに集中してターゲットを絞っていたりと、地域によっても得意・不得意があります。力を入れている地域には現地に拠点を幾つか置いているので、ウェブサイトの会社概要などで海外拠点を事前に調べると良いですね。

先ずはフォワーダー数社にコンタクトを取り、話しを聞いてみましょう。現在取扱いが多い貨物や得意先のこと、海外の拠点、よく使う船会社、運送や倉庫のことなどをヒアリングし、自社の求める条件にマッチしたサービスを提供してくれそうであれば、費用の見積を依頼します。

基本的には、輸出申告費用はどの会社も一律ですが、取扱料や荷役が発生した際の作業費、税関検査にまつわる費用、その他申請や届出の費用、海上輸送費(CFRやCIFの場合)などは各社異なりますので、必ず数社から相見積もりを取ることをお勧めします。

また、ビジネスの拡大に伴ってコンテナ単位での取引となる場合、自社でコンテナ詰め作業(「バンニング」と言います)ができる環境を即座に整えることは難しいと思います。大抵、フォワーダーがバンニングも請け負ってくれるので、将来的にコンテナ単位の取引になる可能性がある場合は、バンニングの見積りも併せて取っておくことをお勧めします。

ちなみに、ある程度の規模のフォワーダーであれば、海上貨物輸送だけではなく航空貨物輸送(エアー便)も取扱っているので(当然、部署は異なりますが…)、空輸も併用する場合は同じ会社に業務を一任した方が色々と手間が省けて便利です。

フォワーダーは国際輸送のプロフェッショナルであり、船の予約から出港までの段取り、通関に必要な書類の提出期限など、輸出手続きに関して事細かに教えてくれます。海外ビジネスをする上で切っても切れない大事なパートナーとなりますので、信頼できる優秀なフォワーダーを最初にしっかり選定しましょう。

船腹予約(ブッキング)

フォワーダーを通して、船会社に貨物の運送依頼の予約をします。この時の注意点として、

① 輸入者との契約で定められた納期、またはL/C(信用状)で指定された船積み期限に間に合う船を手配する必要があるため、いつまでに仕出地を出港する船(もしくは仕向地に入港する船)かを明確に伝える

② コンテナ輸送(FCL)か混載輸送(LCL)か、貨物の数量、容積、重量を伝える

③ 寄港地が少なく仕向地に早く到着する船を選ぶ。航路によっては、寄港地が多かったりトランシップ(途中港で他の船舶に積替え)が必要だったり、仕向地到着までに相当時間を要するものもあるので要注意です。

輸出に必要な書類の準備

まず、貨物を出荷するにあたって以下の書類を作成します。

① Invoice(送り状)
輸出者名、輸入者名、本船名、出港日、仕出地(港)、仕向地(港)、商品名、数量、単価、総額、取引条件、支払方法、シッピングマーク(荷印)などを記載

② Packing List(梱包明細書)
貨物の梱包形態、個数、包装後の重量(貨物重量:Net Weightと総重量: Gross Weight)容積、荷印などを記載

③ Shipping Instruction(船積指図書)
輸出者がB/Lの記載内容を運送人に指示する書類です。L/C決済の場合は、L/Cで要求された内容に従って作成する必要があります。とは言え、ビギナーがいきなりL/Cの内容を読み解き、正確に指示を出せるかと言うと正直難しいと思います。書類に不備があるとL/Cの銀行買取に応じてもらえない場合があるので、ここはちょっとフォワーダーに甘えて、L/Cを一度フォワーダーに見てもらい、Shipping InstructionとL/Cの内容に不一致がないか確認してもらいましょう。

いよいよ輸出貨物の出荷

船腹の予約が完了し、輸出通関書類を作成すると、いよいよ貨物の出荷です。フォワーダーの指示に従い、指定された保税倉庫へ貨物を搬入します。税関への輸出申告は保税倉庫に貨物搬入後に行われます。そしてここからの複雑な輸出通関手続きは全てフォワーダーに丸投げです。もし貨物に保険を掛ける必要がある場合は、フォワーダーに依頼すれば保険の手配もして貰えます。

輸出許可が降りると税関から輸出許可書が発行され、船積みが完了すると船会社からB/L(船荷証券)が発行されます。これらの書類は、後日フォワーダー経由で輸出者に届けられます。

代金回収

貨物を積んだ船が無事出港したら、最終ステップは代金回収です。船会社が発行するB/L(船荷証券)が届いたら、まずは輸入者に船積み完了の連絡(=Shipping Advice)を入れます。

それでは、B/Lの役割と代金回収の流れを代金決済別に説明していきます。

B/Lの役割

船会社は、貨物の船積みを確認して受領証を発行します。その受領証がB/Lです。B/Lの性質として、

① 貨物の受領証
② 運送契約の証拠
③ 貨物の引渡証
④ 流通性のある有価証券

の4つが挙げられ、船会社は通常B/L原本(Original)を3部発行します(いずれも同じ効力を有する)。輸入者が貨物を引取る時は引渡証として、輸出者がL/C決済で銀行に買取を依頼する時は有価証券としての役割を果たす、非常に重要な書類となります。

代金回収: T/T送金

船積み完了の証拠としてインボイス、パッキングリスト、B/Lのコピー一式を輸入者に送り、残金の支払いを依頼します。B/L原本は輸入者が貨物を引取るための引換証であるため、売買契約の内容にもよりますが、貨物代金の入金確認後に輸入者に渡すのが一般的です。

入金が確認できたら:

① B/L 原本を輸入者へ発送する
必ず書留か貨物追跡ができる方法(EMSや国際宅急便等)で発送すること。また、配送中に紛失の恐れがあるので数回に分けて送りましょう。 ※ 輸入者が貨物を引取るにはB/L原本1部で事足ります。

② 輸出者がB/L原本を船会社に戻す(これを「元地回収」または「サレンダー」と言います)
B/Lが元地回収またはサレンダー扱いになると、輸入者はB/L原本がなくても貨物を引取ることが可能になります。

上記いずれかの方法で、輸入者が貨物を引き取れるように手配します。昨今では、運送のスピードが増し、特に近隣のアジア諸国への輸出ではB/Lの送付よりも貨物の方が先に仕向地に到着することがあるため、②の方法を取ることが多くなっています。

ただし、L/C決済の場合は通常フルセット(全て)のB/L原本の提出を要求されるため、誤ってB/L原本を輸入者に送ったり、船会社に戻してサレンダー扱いにすることのないよう注意して下さい。

代金回収: L/C決済編

L/C決済の場合は、L/C開設銀行と買取銀行の間で金銭のやり取りをする流れになるので、代金回収に必要な書類の提出先は買取銀行となります。

B/L原本入手後は速やかにL/Cに要求された条件通りに必要な船積書類を整えて、荷為替手形を作成し買取銀行に提出します。通常、L/C上で「B/L発行日より○○日以内に銀行に書類を提出のこと」と記載があるのでよく注意して下さい。

● 買取に必要な書類:
① 買取依頼書(買取銀行から書式を入手)
② 荷為替手形(Bill of Exchange)
輸出者が買取(代金の回収)を行うときに作成する為替手形です。
こちらも通常、買取銀行が書式を用意しています。
記入方法等も丁寧に教えてくれます。
③ L/C原本
④ 船積書類
・インボイス
・パッキングリスト
・B/L原本(通常、全ての原本)

それ以外にも、

・保険証券(CIFの場合)
・原産地証明書(=Certificate of Origin)
貨物の国籍を証明する公的な書類で、日本では商工会議所で発給を受けます。 外国の輸入者が輸入通関手続きを行う際に税関に提出し、関税率の確認や貿易管理の目的に利用されます。
・検査査証明書
貨物の品質が契約通りに船積みされたことを証明する書類。検査証明書の発行者を誰にするのか(1.第三者機関、2.輸出者、3.輸入者)、検査内容等を事前に輸入者と協議する必要があります。
等があります。買取に必要な書類の種類や必要枚数はL/Cの要求に従って準備します。

● ディスクレ(条件の不一致)
L/C決済の原則として、輸入者の依頼で開設されたL/Cの内容や条件と輸出者が買取銀行に提出する書類の内容が完全に一致していなければなりません。輸出者が提出した荷為替手形や書類の記載事項が、L/Cに記載された条件(商品の金額や数量、船積期限など)と相違がある状態をディスクレと呼びます。

ディスクレがあるとL/C開設銀行や輸入者は支払いを拒絶することができるのです。そのため、ディスクレがあると買取銀行が書類の買取に応じてくれません。万一、L/Cに記載された船積期限に間に合わない、L/Cの有効期限を延長して欲しい、数量や金額に差異があった等の場合は、L/C条件を変更する必要があります(これを「アメンド(修正)」と呼びます)。

L/Cをアメンドするには、まず輸入者に連絡をして了承を得て、輸入者からL/C開設銀行にアメンドの依頼をして貰う必要があります。L/C開設銀行と輸入者の買取銀行を経由して輸出者にアメンドの通知が届くまで1週間ほど要します。

● L/Cの銀行「買取」と銀行「取立」の違い
買取銀行はL/Cで求めている条件と、輸出者が持ち込んだ書類が合致していればその書類と引換に、荷為替手形に記載された額面金額を輸出者に支払うことになります。ここで注意したいのは、輸出者への支払いには2種類あるということです。

①「買取(Discount)」
輸入者が代金決済を行う前に、輸出者が買取銀行から輸出代金を受け取れる方法です。つまり、割引料(Discount)を銀行へ払って手形の現金化を急ぐものです。

②「取立(Collection)」
輸入者が代金決済した後、L/C開設銀行⇒買取銀行に着金してから輸出者が代金を受け取れる方法です。少々時間が掛かりますが、余分な費用は抑えられます。

輸出代金を無事に回収できてはじめて、一連の輸出業務が完了したと言えます。

まとめ

交渉の事前準備から代金回収まで実に長く複雑な道のりでしたが、各分野での専門家やプロフェッショナルを上手く活用し、また協力を仰ぎながら業務の効率化を図ることも十分可能です。

優れた日本の製品やサービスが1つでも多く海外市場に進出し、1人でも多くの方の暮らしを豊かにする。そんな大きな夢を抱きながら、中小企業の皆様には是非とも輸出ビジネスにチャレンジして頂きたいと願っております。