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Glocal Solutions Japan

早稲田大学講義シリーズ_vol.1
「グローバルとローカルのマッチング戦略と課題」

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早稲田大学講義シリーズ_vol.1
「グローバルとローカルのマッチング戦略と課題」

By GSJ事務局

2023年4月26日、早稲田大学ビジネススクールの講座「中小企業のグローバル戦略」にて、「グローバルとローカルのマッチング戦略と課題」という内容で、GSJ専門家と専門家が支援する企業様により、具体的な事例紹介をさせていただきました。

今回は、本セミナーにおける4名の講師による海外展開のさまざまな手法や手順、事例などをご紹介します。ここでの内容を参考に、ぜひ自社の海外展開について検討してみてください。

講師① ⼀般社団法⼈Glocal Solutions Japan 代表理事 深野 裕之

経歴紹介

過去には、従業員50名程度の中小顕微鏡メーカーにて、あらゆる海外業務を経験。中途採用にも関わらず、当時は海外事業部を1人で担当していました。製品の検品・梱包、貿易書類作成、輸出作業、アフターフォローなど、すべての業務を一貫して行うことで、中小企業が抱える多くの課題を理解できるようになりました。

ヨーロッパや東南アジアを中心に、25ヶ国に販路を開拓した実績を活かし、現在は中小企業の海外進出支援に注力しています。

事業紹介

現在、2つの法人運営に関わっています。1つ目は、⼀般社団法⼈Glocal Solutions Japanという団体で、プロフェッショナル企業15社とともに運用している法人団体です。

2つ目は、10年前に起業したNPBトレーディング株式会社という会社です。機械装置を納入したお客様に対する消耗品関係の貿易業務や、企業の海外展開コンサルティングといった事業を行っています。

Glocal Solutions Japanの紹介

Glocal Solutions Japanは15社の専門家とともに、企業の海外展開を支援する社団法人です。地域が持つさまざまな課題を、ビジネスを通じて解決することが重要であり、そのための具体的な手法、解決策を提案しています。

「良いものの可能性を見出し、新しい価値を創造する」ことを理念とし、国境を超えた価値創造、国境を超えたビジネス展開、国境を超えた人材の雇用、そんな新しい可能性を信じています。

グローカルとは?

グローカルという言葉は、 もともとはローカルとグローバルを組み合わせた造語で、「グローバルで考え、ローカルから行動する」という意味をもっています。1919年頃からスコットランドの都市計画家で社会思想家のパトリック・ゲデス氏が使い始めたといわれています。

なぜ今、グローカルなのか?

現在、2019年に経済産業省が発表した「グローカル成長戦略」の指針によって政府の支援が行われています。スタートアップ企業を支援する動きもこの戦略に基づいて進められている施策です。

「地方の成長なくして日本の成長なし」というスローガンのもと、地方の中小企業が海外と直接ビジネスをする環境づくりが重要視されています。例えば、鹿児島の企業が東京にきて海外との接点を探すのではなく、鹿児島の企業が海外と直接ビジネスを行うことが大切なのです。

中小企業の海外展開の課題

ここでは、中小企業が海外展開を行う際の課題をいくつかご紹介します。

人材不足

多くの中小企業では、海外事業部に十分な人員を割くことができません。英語やプレゼンテーションといったスキルをもった人材を確保・育成することは中小企業にとって至難の業といえます。

資金不足

中小企業には、新たな販路・顧客獲得に対するリソース・予算がほとんどありません。展示会など、成果が保証されていない施策においては、会社側の理解を得ることは非常に困難です。

調査能力

海外展開に対する導入知識、イメージを持ち合わせていない場合や、信頼できる相談相手がいない場合など、どういった手順で調査を始めたら良いかわからない企業が多く存在します。

法規制・許認可の対策

法規制や許認可の対策は、進出先の国や地域によっても対応が異なるため、政府機関などに問い合わせをしても曖昧な回答が多くなってしまいます。しかし、国際法務に長けている法律事務所に相談するには、展示会などと同様に多額の資金が必要になるため、中小企業にとっては、非常にハードルの高い選択肢です。

このように、中小企業における海外展開は、大企業とは前提条件が大きく異なります。販売や流通網の構築、ブランド力、知名度といったあらゆるリソースが圧倒的に不足しているなかで販路を開拓しなくてはなりません。

中小製造業が目指すマーケット

中小製造業のマーケット戦略として重要な要素は以下の3つです。

・自社の強み
・競争が少ない
・課題解決

これら3つが重なるポイントを探し、最適なビジネスを行います。なかでも、自社の強みを見極め、競争の少ないマーケットで戦うことが成功の秘訣です。また、できれば戦うのではなく、競争の少ないマーケットで「戦わずして勝つ」ことが理想といえます。

自社の強みとは?

中小企業が目指すマーケットにおいて、先述した3つの要素のなかでも特に重要といえるのが、自社の強みです。企業が競争力を維持・向上させるためには、自社の強みを理解し、それを活かす必要があります。

また、自社の強みを見つけ出すための最も効果的な方法は、「顧客に聞く」ことであり、これは大企業においても同様です。多くの製造業、特に中小製造業では、この「顧客に聞く」、「顧客のことを理解する」という部分が大きく不足しています。

例えば、加工業者に自社の強みを尋ねると、「加工精度が高いこと」といった返答が返ってきます。しかし、多くの業者が、実際にお客様に対してそれを聞くという行動には至っていません。自分たちが強みだと思っているだけの場合や、現行のお客様にとってはすでに過去のソリューションになってしまっている場合が多く存在します。ビジネスの機会は日々変化していくものです。

販路開拓の具体的な方法

ここでは、中小企業が販路開拓を行う手順について、5つのステップごとに解説します。

STEP1:ターゲットを絞り込む

大企業とは異なり、リソースが限られている中小製造業では、市場を細分化し、徹底的にターゲットを絞り込むことが大切です。

STEP2:仮説を立てる

新規開拓は前例がないため、PDCAサイクルではなく、すべてにおいて仮説立てをして進めていくことが重要です。日常のニュースにおいても、世の中の流れや小さな変化に耳を傾け、今どういった状況なのかを頭に入れたうえで情報を取り込んでいくことが大切です。

STEP3:どうやって見つけるか方法を考える

仮説をもとに、販路開拓のための具体的な方法を考え、ピックアップしていきます。

STEP4:Action(行動)

ピックアップした方法を実際に実行します。

STEP5:仮説検証

行動した結果を踏まえ、施策が正しかったかどうかを検証します。新たな課題や対策など、結果が出るまではSTEP1に立ち戻り、繰り返し試行を続けます。

販売店を見つける方法

販路開拓を進め、実行していくためには現地において有望な人脈が不可欠です。ここでは現地の優良な販売店を見つける方法をいくつかご紹介します。

展示会への出展

ターゲットとする市場の展示会へ出展します。重要なのは、やみくもに出展するのではなく、あらかじめ入念なリサーチを行い、ターゲットを決めたうえで出展するということです。また、ターゲットとする企業とあらかじめコンタクトをとり、展示会会場に来てもらうことで、直接商談を行います。展示会会場はアクセス面でも利便性に優れている場合が多いため、これは非常に有効な手段です。

業界団体経由で現地企業へのアプローチ

日本の業界団体と海外の業界団体はつながりをもっている場合が多く、日本の業界団体から紹介をもらったうえで、現地の業界団体と商談を行います。紹介があることで真剣に話を聞いてもらえるため、商談の成功率も飛躍的に上がります。

現地の経営者の会へ参加

現地経営者のコミュニティーへの参加は、業種によっては非常に有効な手段です。コミュニケーション能力が必要にはなりますが、交流次第では大きな案件につながる紹介が得られる場合もあります。

営業代行会社に依頼

オーソドックスな手法ですが、海外の営業代行会社に依頼するのも一定の効果が期待できます。ただし、ターゲットが明確化されていなければ成果は出ないため、依頼する場合には注意が必要です。

日系企業からの紹介

日本企業から取引先を紹介してもらうという方法は、実は非常に有効です。自社製品にとってのベストカスタマーをもっている日本企業を調査し、ご挨拶に伺ったうえで紹介をもらいます。泥臭い手法にはなりますが、大きな効果が期待できるため、長年にわたり使用されている手法です。

LinkedInの活用

ビジネス用SNS「LinkedIn」を活用するのも、有効な方法です。しかし、つながりたいと思う人物に対して、いきなりダイレクトメッセージを送ってもつながりを作るのは困難です。その人物と共通の知人を探し、交流を重ねていくなかで、ターゲットとする人物を紹介してもらうのが有効なやり方です。

紹介というのは大手コンサル会社でも行われている手法であり、会社規模に関わらず、こういった地道な取り組みが何よりも大きな成果につながっています。

紹介をもらいやすくするためには?

海外販路拡大にはさまざまな手法がありますが、なかでも人を介した紹介で行う「リファラルマーケティング」は大きな効果が期待できる手法です。ここでは、企業が紹介を得るためのポイントについて解説します。

取引したい企業を具体的にする

紹介を受ける際、重要なのは自社の強みやもっている解決策を提示したうえで、取引したい企業を具体的に伝えるということです。

具体的に提供できる経営上のメリットを考える

販売会社を探す際には、自社の製品を輸入・販売してくれる会社の立場から、彼らにとっての経営的なメリットとは何かを考えることが大切です。

誰にどのようなソリューションを提示できるのか明確化する

経営者の知人は経営者であることが多く、そこに対してどのようなソリューションを提供できるかというのは、紹介をもらう際に重要な要素になります。

生活の中にチャンスあり

ビジネスチャンスは何気ない生活の変化のなかにも潜んでいます。

タイ・マレーシアの環境分野

世界の先進国においては、プラスチック資源循環の動きが活発化していますが、タイ・マレーシアでも環境に対する意識が急激に高まっています。タイ・マレーシアは、現在ちょうど途上国から脱却した位置付けとして知られており、社会的にもこういった要求に取り組んでいかなければいけない状況です。

脱炭素・省エネ

脱炭素や省エネといった分野への関心が、今世界的に高まっています。電気料金の高騰が続いているなか、深刻な問題として省エネに対する取り組みが世界中で進められています。

この他にも、急成長するベトナムの製造業や、東南アジアのなかでもあらゆる分野で大きな発展を遂げているインド、EU脱退後のヘルスケア産業の拡大が話題になっているイギリスなど、世界中のいたるところで日々変化が起こっています。

こうした変化を見極めることが中小企業にとって非常に重要です。大企業とは異なり、中小企業は急な方向転換にも小回りをもって対応することができます。そこに、ビジネスチャンスが隠れているのです。