近年、東南アジア向けにマーケティングを行う際、注目を集めているのがSNSの導入です。
東南アジアと一口にいっても、ベトナムやフィリピン、インドネシアなど国によってSNSツール利用状況が異なるため、導入の際には各国の状況をよく理解したうえで適切なツールを選択する必要があります。
本記事では、主要国における各SNSツール利用率や、BtoC、BtoBの場合のおすすめSNSツールなど、東南アジアのSNS活用について詳しく解説します。
Contents
東南アジアで主に使われているSNSの紹介
ここでは東南アジアで使用されている主要なSNSをプラットフォーム型、コミュニケーション型に分けてそれぞれご紹介します。
プラットフォーム型
プラットフォーム型とは、登録者が自身のアカウントを通じて、投稿や情報発信など、主に不特定多数のユーザーと交流することを目的として利用されるツールのことです。
Facebookは世界最大のSNSともいわれ、東南アジアにおいてはほとんどの国で高い利用率を誇ります。
アカウントは実名登録が原則とされており、家族や友人、同僚など現実社会において繋がりのある人物に対する近況報告や、ビジネス上の情報交換などに利用されることが多いツールです。
YouTube
YouTubeは、動画投稿に特化したSNSで、日本国内でも多くのユーザーがいることで知られています。東南アジアでも非常に高い利用率を誇り、近年では各国においてFacebookの利用率を上回るほどの人気です。
東南アジアではテレビ番組との連動など、多くの場面でYouTubeが活用されています。
日本国内でも人気のInstagramですが、東南アジアでも利用率が高まっており、特にインドネシアではYouTube、WhatsAppに次いで人気のSNSです。
また、タイなどを中心に多くの企業アカウントが存在し、SNSマーケティングのツールとしても非常に注目されています。日本国内での利用者のように、空間や世界観といった要素を演出するユーザーはまだ多くはありませんが、近年では若年層を中心に日本の「インスタ映え」に似たカルチャーが話題になりつつあります。
日本ではあまり一般的ではないLinkedInですが、20年近い歴史があり海外ではビジネスSNSとして広く普及しています。
実名、顔出し登録が原則であり、ビジネスに特化した利用傾向にあるため、個人の私生活に関する情報発信にはあまり使用されません。Facebookのビジネス版といった位置付けで利用されることが多いツールですが、Facebookと比較すると自身の繋がり以外のユーザーと交流しやすいことがメリットといえます。
Twitterは世界のユーザー数が3億人を超える、日本では代表的なSNSです。全角140文字、半角280文字という限られた文字数制限の中で投稿を行うのが大きな特徴で、アカウント登録に対する匿名性が強く、誰でも気軽に不特定多数のユーザーと繋がることができます。
その匿名性の高さゆえに拡散力が強く、「炎上」リスクが高いことも大きな特徴です。
TikTok
TikTokは世界最大規模の動画共有ツールです。サービス開始当初は15秒以内のショート動画に限定されていましたが、現在では3分まで拡大され、日本国内では10〜20代の若年層ユーザーから圧倒的な支持を得ています。
動画の撮影から編集、投稿までを誰でも手軽に行うことができるのが特徴で、TwitterやInstagramとは異なる独自のアルゴリズムにより、非常に高い拡散性を持っています。
コミュニケーション型
コミュニケーション型とは、利用者間におけるメッセージ送信や通話など、主にコミュニケーションツールとして使用されるSNSのことで、東南アジアではWhatsAppやFacebookメッセンジャーなどが主流となっています。
LINE
LINEは日本国内では70%を超える利用率を誇るコミュニケーションツールです。東南アジアではそれほど利用される場面は多くありませんが、中には利用率の高い国も含まれています。
無料でメッセージ送信や通話が可能であり、携帯電話やスマートフォンとも連動しているため、電話やメールの代替えとして利用しているユーザーが多いツールです。
WhatsAppはLINEによく似たコミュニケーションツールです。日本国内ではLINEの利用率が圧倒的に高いですが、世界規模ではWhatsAppを利用する場面が多く、ヨーロッパやアメリカなどでも広く普及しています。
LINEと同様に携帯電話と連動しており、メッセージ送信や通話が可能な一方で、LINEにおけるタイムライン機能のようなものはなく、あくまでシンプルなコミュニケーションツールとして活躍しています。
世界のSNSユーザー数としてはFacebook、YouTubeに続いて3位の登録者数を誇ります。
WeChatは中国最大のコミュニケーションツールで、東南アジアにおいても高い利用率を獲得しています。
中国版のLINEといった立ち位置で、提供元のIT企業「テンセント」はアプリ収益で世界一を誇る大企業です。ショッピング、飲食店での注文や決済、税金の申請や支払い、オンライン診療など、中国における生活に必要なほとんどの機能が備わっていることが特徴です。
カカオトーク
カカオトークは韓国におけるLINEという位置付けのコミュニケーションツールで、写真や動画の共有、グループチャットなど、LINEとほぼ同一の機能が備わっています。
韓国のIT企業「NAVER」の子会社として日本に設立されたLINEですが、韓国におけるコミュニケーションツールとしてはカカオトークが圧倒的な利用率を誇っており、近年では東南アジアでの利用も大きく広がりつつあります。
主要国別のSNS利用率
ここからは、東南アジアの主要各国で利用されているSNSを利用率順にご紹介します。
ベトナム
日本でも利用率の高いFacebookやYouTubeが上位に入るなか、3位にベトナムの国民的メッセージツールともいえる「Zalo」がランクインしていることが特徴です。
第1位「YouTube」92.0%
第2位「Facebook」91.7%
第3位「Zalo」76.5%
第4位「Facebook Messenger」75.8%
第5位「Instagram」53.5%
出典:https://datareportal.com/reports/digital-2021-vietnam?rq=vietnam
フィリピン
ベトナムやタイなどと同様にYouTubeやFacebookの利用率が高いなか、東南アジアでは利用率が低いTwitterがフィリピンでは5位にランクインしています。
第1位「YouTube」97.2%
第2位「Facebook」96.8%
第3位「Facebook Messenger」92.1%
第4位「Instagram」73.4%
第5位「Twitter」62.7%
出典:https://datareportal.com/reports/digital-2021-philippines
タイ
タイではYouTube、Facebookに次いで、東南アジアでは珍しくLINEの利用率が高いことが大きな特徴です。
第1位「YouTube」94.2%
第2位「Facebook」93.3%
第3位「LINE」86.2%
第4位「Facebook Messenger」77.1%
第5位「Instagram」64.2%
出典:https://datareportal.com/reports/digital-2021-thailand?rq=Thailand
マレーシア
マレーシアではYouTube、WhatsApp、Facebookの利用率が90%前後と非常に高く、次いでInstagramも74.7%と高い利用率を誇ります。
第1位「YouTube」93.7%
第2位「WhatsApp」91.9%
第3位「Facebook」89.1%
第4位「Instagram」74.7%
第5位「Facebook Messenger」64.3%
出典:https://datareportal.com/reports/digital-2021-malaysia?rq=Malaysia
シンガポール
シンガポールはマレーシアと同様にYouTubeやWhatsApp、Facebookの利用率が高く、東南アジアにおける一般的なSNS利用状況といえます。また、第6位にはLinkedInがランクインしており、SNSのビジネス利用に対する認識の高さがうかがえます。
第1位「YouTube」88.7%
第2位「WhatsApp」87.1%
第3位「Facebook」82.0%
第4位「Instagram」65.1%
第5位「Facebook Messenger」53.2%
出典:https://datareportal.com/reports/digital-2021-singapore?rq=Singapore
インドネシア
インドネシアでは、YouTubeやWhatsAppに次いでInstagramの利用率が高く、Facebookの利用者数を超えていることが注目すべきポイントです。
第1位「YouTube」93.8%
第2位「WhatsApp」87.7%
第3位「Instagram」86.6%
第4位「Facebook」85.5%
第5位「Twitter」63.6%
出典:https://datareportal.com/reports/digital-2021-indonesia?rq=Indonesia
BtoC、BtoBにおけるSNSの使い分け
東南アジア諸国では、各SNSの人気や利用率が日本とは異なるため、マーケティングを行う際には目的に応じた適切なツールを選択する必要があります。
ここではBtoC、BtoBそれぞれにおけるおすすめのSNSツールをご紹介します。
BtoC
BtoCでは企業が直接ユーザーに対してアプローチするため、東南アジアにおいて一般利用率の高いFacebookやInstagramなどが効果的です。
利用率がそれほど高くない日本国内とは違い、東南アジアでは50歳以上の年齢層もFacebookを使用しています。
Facebookだけでもほとんどのユーザーにリーチすることが可能であり、1日の利用時間も日本の3倍と、ビジネスにおいて広大な市場が存在しています。
東南アジアの多くの人がFacebookを利用する中、近年急速に普及しているのがInstagramです。日本国内の「インスタ映え」文化が東南アジアでも若年層を中心に話題となり、今後は更なる市場拡大が期待されています。
Instagramはユーザーに対して視覚的な訴求が可能であり、BtoCにおいて非常に効果的なツールといえます。
BtoB
企業が企業に対してアプローチするBtoBにおいては、LinkedInやWhatsAppといったツールがおすすめです。両者とも日本国内では目にする場面は少ないですが、東南アジアでは非常に利用率が高く、ビジネスツールとしても多くの可能性を持っています。
ビジネス特化型SNSといわれるLinkedInは、東南アジアのグローバル企業の中でも利用率が非常に高く、BtoBにおいて効果的なツールです。Facebookと比較すると、既に構築された繋がり以外のユーザーと交流しやすいという特徴があります。
東南アジアはもちろん、世界中で利用されているメッセージツールです。先述のとおり日本ではLINEの利用率が圧倒的に高いなか、世界規模ではWhatsAppが多くの場面で利用されています。
利用率が非常に高いため、BtoCに活用する場合でも一定の効果は期待できます。企業間の繋がりや宣伝広告、現地顧客との連絡手段など、BtoBにおけるあらゆる場面に適したツールといえます。
まとめ
東南アジア向けにSNSマーケティングを行う際には、日本国内と利用されているSNSツールに違いがあることをよく理解したうえで、適切なSNSツールを選択する必要があります。
本記事では一般的なSNSツールの解説に加え、東南アジア主要各国において利用率の高いSNSツールをご紹介しました。また、導入の際にはBtoC、BtoBといったビジネス形態によっても使用すべきSNSツールが異なるため、自社の立ち位置や状況をよく確認することが大切です。
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